image金曜日に発表されたアメリカの1月の雇用統計は、強弱入り混じる内容であったが、全体的には、底堅い内容という印象。

失業率は、2008年2月以来、8年ぶりの低水準である4.9%まで低下。労働参加率(生産年齢人口のうち、働く意思を示している人の割合)が62.7%と、2ヶ月連続で上昇したにもかかわらず、失業率が下がったのは雇用状況の改善を示唆している。

一方で、農業を除いた雇用者数は15万1000人の増加。予想19万人には届かなかったが、非常に気温が高く、強い内容だった12月から、想定内の反動の範囲とみられている。実際、直近3カ月の増加幅では月平均23万1千人と、雇用回復の目安になる20万人を上回っている。

これをうけて、「景気の先行き不透明感から、FRBによる3月利上げはない」ーという見方に大きく傾いていた市場では、追加の利上げの観測が浮上。原油相場の急落もあって、ダウ平均は金曜日211ドルの下落になった。

雇用統計はヘッドラインの数字外の内訳を見ても、改善が見える。

一般に、「雇用が拡大する前には、前もって時給と、労働時間が増加する」と言われるが、今回、平均時給が、25ドル39セントで、1年前からは、2.5%の上昇と、予想を上回る伸びに。

また、週平均労働時間も、前の月から6分増加して34.6時間と、昨年8月以来で最長になった。

こうしたことは、年内に更なる利上げに踏み切ろうとする、FRBのタカ派メンバーを後押しする材料になりそうだ。

しかし一方で、雇用以外の経済指標は良くない数字も多い。

金曜日に発表された12月の貿易統計によると、アメリカの輸出は前月比0.3%減の1814億9700万ドルで、前月に続いて12年1月以来ほぼ4年ぶりの低水準になった。これはドル高の影響や、世界経済の低迷に起因する、需要減退を示唆している。

また、トムソンロイターの集計予想では、SP500企業の増益率は去年10-12月期の決算は1年前から、4.1%のマイナスになるとみられている。

この数字は7−9月期もマイナス0.8%。そして現在進行中の、1−3月期も、現時点では、2.7%のマイナスが予想されている。

ということは、3四半期連続で企業利益は減少する可能性があるわけで、企業利益レベルでは、すでにリセッションに入っていることを意味する。

S&Pのアメリカ株式ストラテジスト、サム・ストーバル氏は、過去を検証し、「企業利益がリセッションになった場合、75%の確率で、実質経済自体ものリセッションに陥る」ーというデータを紹介。

結論を言えば、いくら雇用が堅調とは言っても、こうした状況で、果たして利上げを継続できるのか、FRBにとっては、難しい判断になりそうだ。



  記事が気に入れば  ブログランキングへ